■いよいよ、消費税率引き上げ・・・
平成26年4月1日以降:5%→8%
平成27年10月1日以降:8%→10%
いよいよ、消費税率引き上げが近づいてきました。
多くの中小企業にとって、大きな関心は、
「果たして消費税増税分を、スムーズに価格に転嫁できるだろうか?」という点にあるのでは?
自社の収益やキャシュフローにも大きく影響するので、やはり心配ですよね!
■エッ、3%→5%引き上げ時は、5割以上が転嫁できなかった!?
その心配を増幅させるかのようなデータ?!
今から16年前、平成9年・・・
消費税率3%→5%に上がった際には、
売上高5,000万円以下の事業者のうち、
5割以上が価格転嫁できなかった
と答えているのです。
さらに・・・
弱い者いじめではありませんが、
売上高が小さい事業者ほど、価格転嫁できなかった
と答えているのも、とても気になってしまいます。

■「消費税転嫁対策特別措置法」・・・かなり心強い味方です
平成25年10月1日、「消費税転嫁対策特別措置法(以下、特措法)」が施行されました!
「売り手」たる中小企業・小規模事業者が、
「買い手」たる大規模小売事業者に対して、
商品等を納入する際、
減額や買い叩きなど、
「消費税の転嫁=消費税分の上乗せ」を拒否されることなく、
増税分をスムーズに転嫁できるように
・・・というのが目的です
中小・小規模事業者にとっては、かなり強い味方!です。
具体的には・・・
@ 「消費税価格転嫁拒否」は禁止!
A 「価格転嫁を阻害する表示」は禁止!
B 「転嫁カルテル」や「表示カルテル」を一部容認
■買い叩きなど、「消費鋭価格転嫁拒否」は禁止!
大きく、次のような行為が禁止されています。
@ 消費税価格転嫁額の「減額」や「買い叩き」
既に取り決められた取引価格を、支払う段階になって下げる「減額」や、通常支払われる対価よりも低く価格を定める「買い叩き」などは禁止!
A 消費税の価格転嫁に応じることと引き換えに、「商品購入」「役務利用」「利益提供」などを要請すること
消費税転嫁を認める代わりに、
売り手に対して
「買い手の指定する商品購入」
「ディナーショーのチケット購入」
「値札の表示替えなどの名目で社員の派遣」
等々を要請したりする行為は禁止!
当たり前といえば当たり前・・・でも、こんなことってあるんですね。
あり得るから禁止!?・・・なのですね。
B 本体価格(税抜価格)での交渉の拒否
税抜の本体価格で価格交渉を行いたいという提案を、
買い手が拒むことは禁止!
例えば、売り手が提出した
「本体価格と消費税額を別々に記載した“税抜見積書”」
を買い手が拒み、
「消費税額を加えた総額の“税込見積書”」
を再度提出させることは禁止。
C @〜Bのような行為を、公正取引委員会等に通報したことを理由とした報復行為
さすがに、報復行為というのも、かなりやり過ぎかと・・・
■税率アップ前・・・ワンポイント・アドバイス!!
10月から施行されている特措法の大きな特徴は、
「買い手」たる大規模事業者の転嫁拒否等に対しては取締りを強化し、政府としてもかなり厳しい対応を定めている点です。
悪質な事案に関しては、大きな企業ダメージにつながりかねない、社名公表にまで踏み切るというのですから、政府も本腰です!
ここでワンポイント・アドバイス!!
これまで“税込価格”で価格交渉を行ってきた企業は、
税率UP前になるべく早く、“税抜価格”での価格交渉に切り替えを!
強くお勧めします。
■「価格転嫁を阻害する表示」は禁止!
ここからは・・・
大規模VS中小事業者という観点から、少し頭を切り替えてください。
ここで説明する価格表示の禁止は、
企業規模の大小を問わず、すべての事業者を対象としています。
具体的には・・・
「消費税は転嫁しません」
「消費税還元セール」などの
消費税を転嫁していない旨の表示の禁止!
「消費税上昇分値引き」
「増税分3%値下げ」などの
消費税増税分を値引きする旨の表示の禁止!
「消費税増税分、ポイント還元」
「消費税増税分、キャッシュバック」などの
消費税に関して、取引先(顧客)に経済上の利益を提供する旨の表示の禁止!
■???と思うような、こんな指針も・・・
少し腑に落ちないのは、中小企業庁の指針・・・
指針によると
「春の生活応援セール」
「3%値下げセール」
「8%還元セール」などは、OK!なのです
その理由は・・・
「春の生活応援セール」・・・消費税との関連がはっきりしないもの
「3%値下げセール」・・・たまたま、消費税の引き上げ率と一致するだけのもの・
「8%還元セール」・・・たまたま、増税後の消費税率と一致するだけのものという括りで認められているのです。
しかしながら、あまり抜け道のようなケースは、どうしても公平性・公正性を欠くように思えてなりません。
■「転嫁カルテル」「表示カルテル」も一部容認
業界団体などがまとまって価格転嫁を実施するカルテルは、各企業の自由競争を妨げる行為として、通常であれば独占禁止法(独禁法)違反に問われかねません。
しかしながら特措法では・・・
消費税の「転嫁カルテル」
消費税の「表示カルテル」などについては、
独禁法の適用除外とされました。
参加企業の3分の2以上を中小企業が占めていれば、
「転嫁カルテル」
「表示カルテル」などを公正取引委員会に申請できることに。
最近、消費税に関するカルテル結成!の記事が、相次いで新聞紙上でも取り上げられています。
もしかして皆様・・・同業の方々とともにカルテル結成???
あなたの会社を強くするために、今月号も是非ともお役立てください。
平成25年(2013年)12月
TFSグループ 代表
TFS国際税理士法人 理事長
山 崎 泰 |

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