2011年4月


『震災復興ファンド」の立ち上げに向けて!
 

■東日本大地震に関する融資特例措置について

 皆様そして関係者の方々にも、直接または間接的に被害を受けられた方も少なからずおいでかと思います。
 政府の被災中小企業者に対する資金繰り支援策の概要をご報告します。

中小企業庁復興支援

@特別相談窓口の設置

日本政策金融公庫、商工中金、各都道府県信用保証協会等に、
「特別相談窓口」が設置されました。

 中小企業庁ホームページ


A被災中小企業者が既に負っている債務の負担軽減

 被災中小企業者の資金繰りに重大な支障が生じないよう、政府系金融機関のみならず民間金融機関に対しても返済猶予など既存債務の条件変更に柔軟に対応するように、政府からも要請がなされています。
 加えて日本政策金融公庫、商工中金においては、返済猶予の申し込みすら困難な中小企業者に対して、遅れて申し込みをした場合でも遡って返済猶予に応じることとしています。


B災害復旧貸付(日本政策金融公庫・商工中金)

●貸付限度額(いずれも、既存制度の別枠で融資を受けられます)
 日本政策金融公庫→中小事業1億5千万円、国民事業3千万円  
 商工中金→1億5千万円

●貸付利率(貸付期間5年以内の基準利率、利率は返済期間等により変動、平成23年3月12日現在)
 日本政策金融公庫→中小事業1.75%、国民事業2.25%  
 商工中金→1.75%

●特別措置の対象者(上記金利から▲0.9%の減免措置、借入額のうち1千万円部分のみ)

1)直接被害を受けた中小企業者
事業所または主要な事業用資産について、全壊・流失・半壊・床上浸水等の被害を受けた場合。
市区町村等からの罹災証明書や修繕見積書等が必要です。

2)間接被害を受けた中小企業者
被災事業者の事業活動に相当程度依存している場合。
直接被害を受けた事業者との取引依存度が2割以上。
直接被害を受けた事業者の罹災証明書の写しが必要です。
現状では、直接被害を受けた事業者の罹災証明書の取得が大変困難となっているため、実際は政策金融公庫申し込み窓口から関東経済産業局中小金融課に間接被害証明の発行を申請することで対応しているようです。


C災害関係保証(各都道府県保証協会)

 現時点では、直接被害を受けた中小企業者に対して、一般保証とは別枠で無担保8千万円、普通2億円までの事業再建資金を貸し付ける制度。
加えて4月以降、大震災の影響で売上等が下落した場合の別枠の保証制度が創設される予定です

D自治体独自の取り組みも

 東京都は、3月15日から「災害復旧支援資金融資」を開始。事業所の建物や機械が壊れるなどの被害を被った中小企業者に年率1.5%で融資。信用保証協会への保証料も、全額東京都が補助。
 また運転資金や設備資金としても、返済期間10年以上で、8千万円まで融資。保証協会が100%保証する、別枠保証制度を活用する。いずれも、区市町村の罹災証明が必要です。
 そのほか、茨城県・栃木県・埼玉県・神奈川県はじめ首都圏の各自治体が、売上減少にも対応できるような緊急融資制度を急いでいます。

 

 

 



■義援金等に関する税務上の取扱いについて


 各団体で集めている義援金とは別に、「個人や法人で、個別に寄附をしたいが、税務上はどうなるのか?」との問い合わせも増えてきました。
 そこで、寄附に対する税務上の取扱いについてご説明します。
 国税庁HPが、個人が義援金等を寄附した場合、法人が義援金等を寄附した場合に分けて分かりやすく説明しています。 

  • 所得税の場合、寄附金控除を受けるためには、所得税確定申告書作成の際に、寄附金控除に関する事項の記載が必要になります。確定申告書を提出する際、領収書や預り証などを確定申告書に添付するか、提示する必要があります。

  • 法人税の場合、全額損金算入とするためには、法人税確定申告書作成の際に、寄附した義援金等に関する事項を記載する必要があります。

 さらに義援金等を寄附したことが確認できる書類を保存しておかなければなりません。
  
■『震災復興ファンド』立ち上げに向けて!

 私どもの事務所でも、心ある関与先の皆様からのご提案を受けて、『震災復興ファンド』を立ち上げるべく、急ぎ準備を進めています。もちろん、みな完全ボランティア、手弁当です。
 国でも、郵貯資金や年金資金等の一部を活用した災害復旧ファンドを組成する動きがあります。
 阪神淡路大震災は被害額10兆円、復興までに16兆円かかりました。今回の東日本大震災は被害額16兆〜25兆円、復興にいくらかかるか未知数です。
 そんな想像を絶する金額に比べれば、私達の挑戦しようとしていることは、まさに「貧者の一灯」かも知れません。
 しかし時の経過とともに、救援→復旧→復興へと移り変わっていくことも、また事実。長期的に大事になってくるのは、やはり被災地の復興、生活基盤再建、産業の建て直しとなってくるでしょう。
 被災地の体力的にも厳しい中小企業の復興に些かなりとも役に立ちたい。気仙沼の地場産業復活に役に立ちたい。被害の大きかった市町村が事業復興のための地方債を発行するなら、少しでも引き受けて役に立ちたい。
 そんな思いで、被災された地方自治体首長の皆さんの意見も参考に、震災復興に向けたファンドを立ち上げようと準備しています。

 いまこそ、がんばろう!日本。

 みなさん、がんばりましょう。

 
 
                   2011年(平成23年)4月
                              山 崎  泰