2010年2月


早大最終講義と新宿シティハーフマラソン
 

 1月――身も心も熱くなり、深く印象に残った出来事二つ。
 23日、早稲田大学・大隈講堂。法学部そして大学院で主任教授としてご指導頂いた奥島孝康・元早大総長の退官記念の最終講義。卒業したゼミ生は、何と1,200名。そのうち半数が出席していたのではと思うくらい、大隈講堂がいっぱいに。  
 ゼミ出身の法学者は、現在25名。私も大学院修了時に一瞬だけ、学者への道を思いかけたことが--。「おまえに学者は向かない」との奥島先生の一言で、新しい政治を目指す決意をした、懐かしい思い出のあるキャンパス。
 奥島先生が会社法学者の道を選んだ原点。労務出資している『労働者』を、資本出資している『資本家』と同等に扱う――1917年当時、キリスト教の考え方に基いて一種の理想の形とされた、フランスの「労働者参加株式会社」を探求するため。本当に恥ずかしながら、最終講義で初めて知りました。
 企業の要素は、@物的要素とA人的要素。なかでも人的要素こそが、企業における人間の復活、まさに企業の原型。
 労働者と経営者とを対立した立場で捉えるのではなく、労働者の「労働参加」のみならず、労使間協議等の「情報参加」も広く求め、労働者+資本家が共同参画する『The Responsible Company(責任企業)』を作り上げていくことを研究し続けるとの講義内容でした。
 “企業は人なり”実務をしていると、心の底から実感します。発展著しいユニクロも、事業再生に瀕する日本航空も、まさに従業員(社員)の仕事への取り組み方いかんに会社の運命がかかっているのです。それにもかかわらず、会社法では社員=株主、機関=取締役等を示すのみで、いわゆる経営者側が会社の構成員として登場のみで、労働者側は会社法的にはどこにも登場しないのです。
 長年、もやもやとした疑問を持ち続けてきた私にとって、本当に霧が晴れたような瞬間でした。
 不肖の弟子ゆえ、もっと授業に真面目に出席していれば、20数年前に霧が晴れていたのにと痛切に反省しつつも、日々会社と接し、そこで働く人を守る職業会計人の道を選んで間違いはなかった、責任企業づくりに貢献できる、奥島先生の思いを継いで仕事ができる、と胸が熱くなった次第です。

 胸が熱くなった余勢をかった訳ではありませんが、31日、新宿シティハーフマラソンに参加。勢いづいてハーフと書きかけたところ、心配した社員に制されて10kmに申し込み。
 医者からも真剣に心配され、まずは時速6.5km/hでランニングマシンで練習するようにとの指導。その時間すらなく、3日間だけ自宅近辺をジョギングしただけで無謀な挑戦。
 結果―やっと国立競技場入口に戻ってきた所で72分経過。規定の70分以内完走が果たせず、係員に寂しく参加賞コースに誘導され、ゴールを果たせずに初ラン終了。
 それにしても、「沿道の皆さんに励まして頂いて頑張り〜」と書きかけたところに、中村時広・松山市長の事務所からこんなメールが。「フルマラソン初挑戦。沿道の声援もあり、4時間27分33秒で完走。気力体力はますます充実しております。」

 私の「頑張り〜」の後に続くコメントは、来年、完走してからにしたほうがよさそうです---。


 


(右上写真:新宿シティハーフマラソンにて)