2011年10月

『こんなにも反響が大きいとはーー!?

      相続対策セミナーを毎月開催中』

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■知らないと後悔する『相続対策セミナー』を開催

 先日、当グループのTFS行政書士法人主催による相続対策セミナーを 開催いたしましたところ、大変多くの皆様方にご理解・ご参加をいただきました。心より御礼申し上げます。

「知らないと後悔する---」
「相続で後悔したくない---」
「あなたに贈る特別セミナー」

と題していましたので、 やや誇張し過ぎかも---と内心思いつつ、私も会計事務所の立場からセミナー後半の講師を務めました。
 私に与えられたテーマは、
「相続税改正のゆくえと、今からできる相続対策」。

 会場に入ると、会場は満席(当社の狭いセミナー会議室なのですが---)。
 今回は満席のため、やむなく次回以降の出席をお願いした方もおられたと主催した行政書士から聞き、当社の狭い会議室を申し訳なく思うとともに、“相続に対する関心”がいかに高いかを冒頭から実感しながら、講演をスタートしました。

 

  • 相続税改正のゆくえ

  仕事柄、いや性格からか---講演でも、結論から先にお話しすることが多いので、今回も≪ポイントを先にまとめておくと---≫と記したパワーポイントを初めに紹介しました。

1.平成22年度税制改正で、『小規模宅地の評価減の特例』が改正され、すでに相続税増税は始まっている

2.平成23年度税制改正案では、
 『基礎控除額の引き下げ
 『税率構造の見直し
 『生命保険非課税枠対象者の縮小
などの、大幅な改正内容になっている。

3.平成24年度以降の税制改正では、さらに『課税方式の見直し』も

 

■これまでの相続税改正の動きは・・・

 昨年末以降の、平成23年度税制改正の動きを、時系列的に整理しておきます。

【平成22年12月16日】
 「平成23年度税制改正大網」発表
       ↓
【平成23年1月25日】
 「所得税法等及び一部を改正する法律案が上程
       ↓
【平成23年3月11日】 
 東日本大震災発生
       ↓
【平成23年6月10日】 
 改正法案を、
 @与野党合意により成立させる法案と、
 Aそれ以外の法案 とに分割
       ↓
【平成23年6月22日】
 合意部分の法案として「現下の厳しい経済状況および雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」が、国会で可決・成立。
 与野党の主張が異なる、本格的な議論の必要な改正案は先送りされていますので、いわゆる措置法関係の法案成立が多くなっています。
 成立した法案のうち、目玉となりうるものとしては「雇用促進税制の創設」(前期末からの雇用者増数×20万円の特別税額控除)くらいでしょうか。

  • 平成23年度税制改正で成立した主な事項(財務省データ)




  • 平成23年度税制改正で未成立の主な事項

を示しましたので、再度ご確認いただければと思います。
       ↓
【平成23年8月31日】
  野田佳彦新首相を選出。
       ↓
 相続税、贈与税の改正案は、国会閉会中も継続審議となる。
       ↓
 10月下旬にも臨時国会が開会されるといわれていますが、閉会中審査の継続審議等も含めて、相続税だけ先に国会を通る可能性もあるのでは---との声も聞こえてきます。 


■野田首相の性格からして---

 
 話は戻りますが、相続対策セミナー開催直前、「秘書官の方はおられますか?」と、当社を訪ねてこられた年配の方がおられました。
 秘書の仕事をしている女性社員はいるけれど、秘書官はいないし---という感じで事務所対応したところ、ワンフロアー上の6階の海江田万里事務所と間違えて来られたとのこと。
 以前、5階が海江田事務所だったこともあり、よくあるケースです。

 9月以降、様々な皆様とお目にかかると、
「海江田さん、残念だったね---」
とか、
「野田さん、良かったね---」
とか、別に私は国会議員としてどなたかに投票した訳でもないのですが、 そう言われることが良くあります。

 政経塾以来、四半世紀に及ぶ後輩ですが、野田さんの実直さは誰もが知るところです。
 今さえ、自分さえ良ければではいけない、
 次の世代にツケをまわさない、
 そんな強い信念をもたれる野田首相ですので、信念を貫かれる性格からして、相続税増税にも早晩、踏み切られるのではと思っています。
 増税は既定路線として、慌てずに今から準備しておくことが賢明だと思うのです。

 

■日替わりで変わる、相続税への対応
 
 先の相続対策セミナー開催が、9月28日。
 それに先立つ数日間は、まさに日替わりメニューのように相続税への対応が変わり、本当に慌しい日々でした。

 日々、刻々と変わる相続税の取り扱いを説明したセミナーの内容は---

【9月26日(月)】
 民主党税調、@相続税改正+A相続税も復興臨時増税とする案を検討。
 すなわち、

  • 相続税を改正+A改正後の相続税×10%×10年間程度の復興臨時増税という2階建てで増税する案を検討。

     ↓
【9月27日(火)】
 しかしながら、 

  • 臨時増税まで含めると、急激な大幅増税になること
  • 臨時増税期間中の10年間に死亡したか否かで、相続税額に10%もの違いが出るのは不公平

 等の理由で、2階建てで増税する案は見送られました。
 すなわち、上記の@だけで、Aは行わないという案です。
       ↓
【9月28日(水)】

  • 復興増税の規模を、11.2兆円⇒9.2兆円に圧縮
  • 増税するのは、所得税・法人税・個人住民税・たばこ税

 という案が、政府・与党内で固まり、10月下旬の臨時国会に提出する方針決定

 

■回避されそうだが---いずれにせよ近い将来

「相続税のゆくえ」のまとめとして、こんなパワーポイントを作成して、ご説明しました。 

@近い将来(2015年10%?)の消費税率引き上げの方向性は不可避。

A『社会保障・税の一体改革』に向けた社会保障費確保
 ⇒消費税増税の布石として、行財政改革とともに
 「富裕層の相続税」
 「高額所得者の給与所得控除」
 「団塊世代退職金」への課税強化がターゲットとなろう。

Bまずは、国会議員80名削減の公約実現からやるべき---と言いたいが。

C被災地への孫正義氏などの寄附が大きく報道され
 ⇒お金で寄附するなら、税金で納めてもらっても---という風潮。

D富裕層向けの増税を行いやすい世論の雰囲気。
 富裕層も、あからさまに反対しにくい雰囲気。

E4.2人/100人⇒ 6~7人/100人に相続税の課税割合を拡大しても、93~94人/100人には関係ない相続税

 でも、4.2人/100人といっても、それは日本全国、子どもからお年寄りまで全員が分母になっていることを忘れてはいけません。
 一種の“数字のトリック”のようなものです。

 首都圏だけをとってみたら---
  65歳以上高齢者だけをとってみたら---
 相続税がかかってくる率は、格段に上がってくる筈なのです!

 臨時増税という事態は回避されそうですが、いずれにせよ近い将来、相続税の増税は不可避と備えておくべき

 午後4時の相続対策セミナー終了後、夜7時まで延々と続いた個別相談を伺いながら、あらためて痛感した次第です。

平成23年(2011年)10月     
山 崎  泰