過去の記事
2013年
10月
6月
5月
4月
3月
2月
1月


2012年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月

1月

2011年
12月

11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2010年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2009年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2013年11月

『経営セーフティ共催制度』活用のススメ
エッ…連鎖倒産防止+一時貸付+節税対策まで


顧問先から、急を告げる電話が・・・

 今秋、出張先の鳥取県・大山ロイヤルホテル12階。
 今年5月の植樹祭で、天皇皇后両陛下がお泊りになられたこともある由緒あるホテルの最上階。
 TKC中国会の総会での挨拶を終えて、息抜きにのんびりと、最上階から大山の山々を眺めていたら・・・iPhoneに愛媛県の顧問先から電話!
 数日前に電話で話した時は何もなかっただけに、なんか嫌な予感!!

「急ぎ、信頼できる良い弁護士さんを紹介してくれませんか?」
「どうかしたのですか?」
「私の知り合いの製紙業者の持っていた手形が、今日、不渡りになってしまって・・・」
「知人の会社まで、連鎖倒産になってしまうかもしれないのです!」
「今、羽田空港に着いたところです。」
「どうしても、今日中に紹介を・・・」

 8月は月末が土曜日だったので、決済日は9月2日(月)。
 今月11月も、月末が土曜日。決済日は12月2日(月)・・・という会社も多いことでしょう。

 経営者はもとより、経営者を支える会計事務所も、月末決済日が何曜日か・・・を、いつも気にしています。
 だから、決済日に電話が入ると、ピーンと緊張感が走ります!

「経営セーフティ共済」とは   

 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、長年、いわゆる「倒産防」と呼ばれてきたもので、既に加入している企業も少なくないと思います。
 しかし、

  1. 平成23年10月から、制度が大きく拡充されたこと、
  2. 平成25年3月末をもって中小企業金融円滑化法案が終了したので、中小企業の倒産状況が予断を許さないこと、
  3. 平成23年10月から、共済掛金が大きく拡充されたことにより、実は短期間の節税策として有用であること

等々の理由により、昨今、あらためて注目を集めているのです。

 

「1年以上事業継続」の要件には注意

 経営セーフティ共済は、取引先事業者の倒産の影響を受けて、中小企業が「連鎖倒産」や「経営難」に陥ることを防止するための共済制度、すなわち「倒産防止共済制度」です。
 中小企業倒産防止共済法に基づいて、国が全額出資する独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているという安心感もあります。

 現在は、約30万社に及ぶ中小企業が加入。
 貸付累計件数約26万件、貸付累計額は約1兆8千億円。
 あくまでも中小企業者が対象なので、「資本金額」や「従業員数」のよる制限はあります。
 ただし中小企業者であっても、引き続き1年以上事業を行っていることが条件となっていますので、新設法人等で加入したいという場合には注意が必要です。

 

■最高8,000万円まで「無担保」「無保証人」「無利子」で貸し付け

 毎月の掛金は、5千円〜20万円の範囲内なら、5千円単位で自由に選ぶことができます。
 以前は、掛金総額は320万円までだったものが⇒平成23年10月からは、総額800万円まで積み立てることができるようになった点が、大きなポイント!
 取引先事業者が倒産して、売掛金等が回収困難になった場合には、
積立金額の10倍最大800万円×10倍=最大8000万円)まで「無担保」「無保証人」「無利子で貸付を受けることができる制度!

 

■共済金の貸付を受けることができる「倒産」とは・・・

 共済金の貸付を受けることができる取引先の「倒産」とは、
@破産手続き開始の申立等
A銀行引停止処分
B私的整理
 などの場合です。
 特に平成23年10月から、
弁護士などから支払停止通知を受けたような「私的整理」のケースにも適用されるようになった効果は大きいと思います。

 

いわゆる「夜逃げ」は貸付対象外!
 積み立てた共済掛金の範囲内で、「一時貸付金制度」も

 昔からいわれていることですが、いわゆる「夜逃げ」は事実関係の特定があまりにも困難であることから、共済金の貸付対象には含まれていません!

 取引先事業者に倒産が生じていない場合でも、
 会社として急に資金が必要になったり、
 資金繰りが苦しくなったような場合には、
 積み立てた共済掛金の一定範囲内で、「一時貸付金」を受けることもできるのです。

 

“節税策”としても有用な「経営セーフティ共済」!

 先日も、こんな相談がありました。
 当初の予想以上に利益が出そうなシステム会社の決算対策。
 決算日まで期間が短く、抜本的な節税策をとるには時間がない状況。
 そこで、経営セーフティ共済を提案しました。

 毎月の掛金は、
 法人であれば全額損金
 個人事業主であれば全額必要経費

 としての算入が、税法上も認められています。

 毎月20万円×12ヶ月=240万円。
 3年4ヶ月で、800万円積み立てることができます。
 例えば印刷業であれば、3〜4年で償却しそうな設備、買換えを予定している営業車等を念頭において、計画を立てるのです。
 そして計画が決まったら、毎月20万円ずつを、万が一の時のために経営セーフティ共済掛金として、損金算入して節税しながら積み立てていくのです。

 

引き続き1年以上事業継続の要件には注意

 確かにキャッシュは出て行ってしまうので、痛い感じもしますが・・・

  1. 金融機関に20万円ずつ預金しておくことを思えば、損金算入できるので節税にもなり、
  2. 万が一の時の連鎖倒産防止にもなり、
  3. どうしても、会社で資金が必要な時は一時貸付金を受ける

・・・というスタンスで、経営セーフティ共済を活用してみることをお勧めします。

 そして、3〜4年後の設備や車の償却や買換えの時期に合わせて、共済掛金を解約するのです。
 40ヶ月以上掛けていれば、これまでの掛金は100%戻ってきます。
 その資金を使って、新しい設備や車を買い替えるというパターン!

 確かに、共済金の解約時には、法人なら益金、個人事業なら雑収入という税法上の扱いになってしまいますので、そこは購入した設備や車の一括償却や減価償却を有効に活用していきたいものです。
 取得時に全額経費計上できたり、一括償却できるものなら、さらに節税効果は大きいです。

 あなたの会社を強くするために、是非ともお役立てください。

 

平成25年(2013年)11月         

TFSグループ 代表         
 TFS国際税理士法人 理事長     
山 崎  泰