■「経過措置」として、現行の5%が適用される場合があります!
いよいよ4月1日から、消費税率が8%に引き上げられます。
消費税については、原則として平成26年4月1日以後の資産の譲渡等については、8%の税率が適用されることになります。
ただし、4月1日以後に行われる資産の譲渡等であっても、現行の5%が適用される場合が、「経過措置」として定められています。
4月1日になる前に、いま一度、最終確認しておいていただければと思います。
■請負工事等に関する「経過措置」
請負工事等については、原則として、相手方に引き渡した日の税率が適用されます。
ただし、請負工事等については「経過措置」が設けられています。
請負契約を平成25年9月30日までに締結した場合には、引き渡しが平成26年4月1日以後になった場合でも、5%の税率が適用されることになっています。
もちろん、平成25年10月1日以後に請負契約を締結した場合でも、平成26年3月31日までに引き渡しがなされれば、5%の税率が適用されます。
「経過措置」の対象となる請負工事等には、
建設業の請負工事契約
製造の請負工事契約
測量・地質調査契約
工事の施工調査、管理・設計契約
ソフトウェア開発契約
などが含まれます。
ただし、「経過措置」の適用にあたっては、「経過措置により旧税率5%の適用を受けた」旨を、契約書や請求書等で相手に通知することが義務付けられています。
■リース契約に関する「経過措置」
原則として、リース契約は、資産の売買取引とされ、コピー機などのリース資産については、リース資産の引き渡しを受けた日の消費税率が適用されます。
平成26年3月31日までに、コピー機などのリース資産の引き渡しを受ければ、5%の税率が適用され、譲渡対価の全額が課税仕入れとなります。
仮に、4月1日以後にまたがる分割払いであっても、取り扱いは同じです。
中小企業の特例として、コピー機などを資産計上ではなく、毎月のリース料を費用計上している場合があります。この場合には、毎月の支払の都度、リース料を課税仕入れとして消費税申告することも認められています。
平成26年3月31日以前に、リース契約を締結し、リース資産の引き渡しを受けて、上記のような費用計上をしている場合、リース資産の引き渡し時点での税率5%が適用されます。
■賃貸借契約等(資産の貸付)に関する「経過措置」
事業用不動産の賃貸料等については、平成25年9月30日までに賃貸借契約をし、平成26年3月31日までに賃貸を開始して、4月1日以後も引き続き賃貸を行っている場合、「経過措置」として、4月1日以後も税率5%が適用される場合があります。
- 「賃貸借期間」と「賃貸借期間中の賃貸料の額」が、契約で定められていること
- 事情の変更などの理由により、賃貸料の変更を求めることができる旨の定めがないこと
- 賃貸借契約期間中、当事者の一方または双方が、いつでも解約の申し入れをできる定めがないこと
等の要件のうち、いくつかを満たしていることが必要です。
消費税は、仮払・仮受という形で、最終的には申告を通じて精算されていくのですが、
短期的な資金繰りからみれば、借りている側からすれば、引き続き5%であれば助かりますし、貸している側からすれば、引き続き5%であれば、もらい損ねたようなイメージ・・・になるかもしれません。
しかし、この「経過措置」自体は、あまり心配しなくても良いかもしれません。
皆様のお手元の賃貸借契約書をご覧いただければ、お分かりのように・・・
現実には、「事情の変更などの理由により、賃料改定を求めることができる」旨の文言が入っていることが多いので、5%が適用されるケースは、かなり稀だと思います。
なお、平成25年10月1日以後に、賃貸借契約が締結されたり、賃貸料の額が変更され
た場合には、上記の「経過措置」には該当しませんので、その場合には、税率8%の適用と
なります。
■要注意!! 3月末に受領する(支払う)4月分の賃料⇒4月分なので、8%です!
間違えやすい、要注意点です!
不動産の賃貸料については、前月末までに翌月分を受領する(支払う)ことが、契約書上、定められていることが多いと思います。いわゆる「前家賃」です。
平成26年4月分の家賃を、3月末に支払った場合、くれぐれもご注意ください!
消費税が増税された後の4月分の賃料ですので、税率は8%となります!
■旅客運賃等に関する「経過措置」
定期券、回数券、また映画などの入場券等を、3月31日までに支払って購入していれば、
4月1日以後に乗車、入場しても5%です。
ただし、スイカなどのICカードは、現金がチャージされただけで、まだ乗車券の購入等を行っているわけではないので、「経過措置」は適用されず、4月1日以後に乗車すれば、8%の適用となります。
■電気料金等の「経過措置」
3月31日以前から継続して供給されていて、4月30日までに料金が確定するもの(電気、ガス、水道料金、電話料金などで、検針等により料金が確定するものなど)は、その計算期間は5%が適用されます。
少し細かい点も含めて、気になる「経過措置」を取り上げてみました。
4月まであとわずか、是非とも最終チェック・リストとしてご活用ください。
平成26年(2014年)3月
TFSグループ 代表
TFS国際税理士法人 理事長
山 崎 泰 |
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